ビットコインのETFはどうなる?そもそもETFって何?

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2017年末、ビットコインにとって大きな節目となる「一般取引所によるビットコイン先物取引開始」というイベントが発生しました。
これを受けてビットコインの価値はさらに向上し、また「ETF」の可能性についても取り沙汰されました。さて、ETFと聞いても何の略なのか、これがビットコインにどう関係するのか理解できる人は多くないと思います。そこで、ビットコインのETFや、そもそもETFとは何なのかについて解説します。
ETFとは?
まずは、ETFについて解説します。ETFとは「上場投資信託」の略です。上場投資信託は、株式投資と一般的な投資信託の中間に位置する特徴を持ちます。
一般的な株式のように証券取引所で売買できて価格が変動します。一方で投資信託と同じように特定の銘柄の株式に投資するわけではないため、株式投資に興味がある初心者にとって利用しやすいものとなっています。
ビットコインETFはビットコインを投資対象に含む上場投資信託
ビットコインETFは、ETFの中でも「ビットコインを投資対象に含む」という特徴を持った上場投資信託です。ビットコインはその価値を大きく上げた存在であり、今まで世界中の投資家が注目していました。しかし、ETFにビットコインなどの仮想通貨を含めることはできなかったのです。
ビットコインの性質が大きな要因
ビットコインETFが利用できなかったことは、SEC(証券取引委員会)がファンドの申請を却下していたことが理由です。SECがビットコインETFを認めなかった原因は、ビットコインが「投資家を保護できない」という特性を持っていたからです。
既に実績のあるビットコイン取引所はいくつもありましたが、それらはあくまでも企業が運営するものです。不安定で、市場操作などの動きに対応する中央銀行などの管理組織が存在していないビットコインは、ETFの対象としては不適格だったのです。
大手取引所でのビットコイン先物上場
ビットコインはETFには適さない、その構図が崩れるきっかけとなる出来事が、2017年末に起きました。ビットコインに注目する人であれば誰もが知っているであろう「ビットコイン先物上場」のスタートです。
2017年12月、「シカゴ・オプション取引所」と「シカゴ・マーカンタイル取引所」においてビットコインの先物が上場しました。これはビットコインとそれを取り巻く環境を大きく変える一大イベントでもありました。
これらの取引所にビットコイン先物が上場されたということは、アメリカ政府によってビットコインの存在が認められたことでもあるのです。アメリカ大統領直轄の政府機関である「CFTC(米商品先物取引委員会)」がビットコイン先物上場を許した以上、ビットコインの立場は大きく向上することになりました。
先物上場を受けて投資ファンドが再びビットコインETFを申請
先物上場によるビットコインの立場向上を見て、米投資ファンドは再びビットコインETFを申請しました。今までとは異なり、アメリカ政府公認の取引所で先物上場されたことにより、ETFの申請が通る可能性が高いと判断されたからです。
SECは懸念を表明、ファンドは申請取り下げ
これに対してSECは、ビットコインETFに対して懸念を表明します。内容は「流動性とバリュエーション(投資の価値計算や、事業の経済性評価のこと)について」です。この表明を受けて、ETFを申請していたファンドは次々に申請を取り下げました。
先物上場開始によるETFなどの新しい金融商品の誕生に期待していた金融業界は、SECの懸念に対して注目することになります。もし申請が通っていたのであれば、先物上場決定の時のようにビットコインの価値はさらに押し上げられていたことでしょう。
SECが帯びる役割
SECは、大きく分けて2つの役割を担っています。一つは「投資家の保護」で、もう一つは「証券市場の整備による資本形成への寄与」です。前者を考えるとSECの懸念表明は正しいですが、後者を考えると多くの投資家を呼び込めるETFなどの金融商品の誕生を否定する行動は正しいとは言えないかもしれません。
ビットコインは管理組織が存在しない
ビットコインや多くの仮想通貨は、開発者はいても通貨として管理する管理組織が存在しません。法定通貨であれば日本銀行などの中央銀行がこれを管理できるのですが、ビットコインにはそれがありません。
非中央集権的な通貨として、金融危機に際してはその利用価値が認められています。しかし、投資家保護の観点からはその特徴が仇となっています。政府公認の取引所で先物取引が開始されたとは言え、政府がビットコインを管理しているわけではないのです。
ETFの夢は潰えるのか?
先物上場してもなお、ビットコインETFは認められませんでした。しかし、これによりビットコインETFが二度と日の目を見ないというわけではないでしょう。今後、ビットコインを取り巻く環境が再び大きく変化すれば、その時こそはビットコインETFが認められる可能性が残されています。


